なぜ耐震診断が必要なのか

政府の地震調査委員会の発表によると、首都直下地震は東京湾北部を震源としたマグニチュード(M)7級を想定し、今後30年以内の発生確率は70%とされ、負傷者は約21万人に上り、建物の全壊・焼失は約85万棟に達すると想定されています。

 

 

まだ記憶に新しい地震災害に、阪神・淡路大震災があります。1995年の未明、マグニチュード7.3ともいわれるこの地震は、大阪の豊中市を中心に、関西地方で死者6,343名、行方不明者3名を含む43,792名もの被害者を出しました。

 

(写真提供:西宮市震災写真情報館)

 

その際、木造住宅はもちろん、当時の建築基準法をクリアしていたマンションやビルも、倒壊などの大被害に見舞われたのです。とくにショッキングだったのは、最強の構造とまでいわれていた鉄筋コンクリート造のマンションやビルの倒壊でした。つぶれてしまったマンションには、1階部分が柱だけで壁のない、駐車場利用をしていたものも含まれており、構造上計算外であった雑壁の重要さが見直されたほどです。翌年には、建築基準法が改正され、二度とこうした悲惨な事態に陥らないよう対策がとられました。

 

(写真提供:西宮市震災写真情報館)

こうしたなか、政府では今後発生するであろう、震災レベルの災害対策として、耐震補強工事というものが、避難所となりうる学校などを中心に展開されたのです。このことは、民間レベルではあまり認知されていませんが、夏休みなどの休暇期間を利用して、その対応が急がれました。

 

しかし、近年の新築マンションやテナントビルはともかく、旧建築基準法で建てられた建造物に対しては、別段、目立った動きはありません。

 

写真提供:西宮市震災写真情報館)

 このことが何を意味しているかおわかりですか? やがて起こりうると言われている東海大震災時において、またあの悲劇の繰り返される可能性が残っているということに他ならないのです。

 

 もし当時、耐震診断というものが施されていたら、あの被害は防げたのか。たしかに100%倒壊を防ぐことはできなかったでしょう。しかし、構造の劣化した建物や、施工不良の建造物を見つけることは可能であり、結果として災害を最小限に抑えることはできたはずです。

 

この問題は、行政レベルで協議することではありません。倒壊や破損による被害への補償は、そのビルのオーナーが負わなければいけないもの。むしろ、オーナーたちが積極的に対策を講じなくてはならないのです。

もし関心も持たず、放置していたらどうなるのでしょう。

倒壊したビルの所有者責任を取られ、被害への補償に追われる日々を過ごさなくてはならなくなるおそれがあるのです。

大きなビルを所有するということは、その責任も多大になるということ。それが古いものであるなら、補修をしなかった過失責任へと発展してしまう事もあります。

 

 今、ビルオーナーが真剣に考えなければいけないこと。それはそこを利用する人々の安全を考え、建物の現状を把握することなのです。

 耐震診断JPでは、こうしたオーナーの不安を解消すべく、これまでに阪神エリアで培ってきた実績をもとに、スピーディーな診断を展開しています。建物の現状を調べ、そのウィークポイントを知ることで、どのような補強対策を講じるべきか、私たちはビルのリニューアルまで責任をもって対応させていただきます。

 有事に備えて手をうつのは、いまやオーナーにとって必要不可欠なことなのです。